新しいプロパティとして「Google Analytics 4プロパティ(旧「アプリ+ウェブ」プロパティ)がリリースされました。従来のユニバーサルアナリティクスプロパティではウェブのみの計測ですが、GA4ではウェブに加えてアプリの計測もできるという特徴があります。これにより「ウェブ」と「アプリ」を横断的に見ることができるようになりました。
また、大きな変更点として「セッション」中心の計測から「ユーザー」を軸とした計測に変わりました。その他、機械学習を用いた予測機能、プライバシー重視のデータ収集機能が搭載されています。
なお、今までのユニバーサルアナリティクスプロパティとの互換性はなく、新たにデータを蓄積する必要があります。
Google Analytics 4 プロパティの特徴
新しいGoogleアナリティクスプロパティの特徴は、Googleの公式ブログより参照させていただきました。
機械学習を用いた予測が可能に
新しい Google アナリティクスでは、Google の機械学習モデルを利用し、ユーザーのニーズの高まりを受けて製品の需要が高まっている時など、データに重要な傾向が現れたときに自動的に通知を受け取ることができます。さらに、顧客が取り得る行動の予測も可能です。たとえば、離脱の可能性を算出することで、マーケティング予算に余裕がないときに、顧客維持により効率よく資金を投じることができます。今後も引き続き、特定の顧客グループから獲得できる収益の推定値など、新しい予測指標を追加していきます。こうした機能を利用してオーディエンスを作成することで、より有望度の高い顧客に働きかけたり、分析を実行して、なぜ特定の顧客の予想支出額が他の顧客より多いのかを突き止めたりすることができます。これにより、成果向上につながる対策を実行できます。
アプリとウェブをまたいで測定可能に
アプリ内とウェブ上での YouTube エンゲージ ビュー経由のコンバージョン データをレポートに表示できます。YouTube の動画ビュー経由と、Google とそれ以外の有料チャネル経由、オーガニック チャネル( Google 検索、ソーシャル、メールなど)経由のコンバージョンのデータを並べて表示すれば、あらゆるマーケティング活動の効果を総体的に把握することができます。
顧客接点をより包括的に把握
デバイス別やプラットフォーム別の分断されたデータではなく、顧客中心のデータを測定できます。マーケティング担当者が指定したユーザー ID や、広告のパーソナライズを有効にしているユーザーから取得した Google 独自のシグナルなど、複数の ID 空間を使用して顧客との接点をより包括的に把握できます。たとえば、ウェブ上の広告から広告主様の商品やサービスのことを知り、その後アプリをインストールしてアプリ内で購入に至った顧客がいるかどうかを把握できます。
また、ユーザー獲得からコンバージョン、顧客維持までのライフサイクル全体にわたって、顧客情報をより詳しく確認できます。関心のあるカスタマー ジャーニーの段階に応じてマーケティング インサイトを簡単に確認できるようにしました。たとえば、ユーザー獲得レポートで新規顧客を呼び込んでいるチャネルを確認してから、エンゲージメントや維持率のレポートで、顧客の行動や、コンバージョン後も関心が持続しているかどうかを把握することができます。
モデリング機能の導入予定
柔軟な測定手法に加え、今後はデータの不足を補うモデリング機能が導入される予定です。つまり、パンデミックからの回復期にも、見通しのつきにくいその後の世界でも、Google アナリティクスを活用して効果的にマーケティングの成果を測定し、顧客のニーズに応えることができます。
引用資料
マーケティングプラットフォーム公式ブログ 新しい Google アナリティクスのご紹介より
GA4の9つのポイント
GA4プロパティの設定が完了すると表示されるチュートリアルに沿ってご紹介します。
1.アプリとウェブサイトのユーザーを同時に確認できる
以下は、デモアカウントのFlood−it!のGA4画面です。ウェブに加えAndroid、iOSのデータも合わせて表示されています。
アプリとウェブを一緒に運営しているような企業には非常に役立つ機能だと思います。
2.レポートは、リアルタイム、ライフサイクル、ユーザー、イベント、探索に分類
リアルタイムレポート
リアルタイムレポートでは、発生しているアクティビティに対し、5秒〜30秒前に発生したイベントが表示されます。このレポートでできることは次のとおりです。
- 異なるユーザー セグメントを並べて表示し、それぞれのパフォーマンスをリアルタイムで比較する
- 他のレポートでも使える新しいセグメントを簡単に作成する
そして、レポート内容が大幅に刷新されています。
今までのプロパティは、「ユーザー」「セッション」「ページビュー」という考え方で設計されていましたが、「ユーザー」と「イベント」の2つの考え方になります。
ライフサイクル
集客、エンゲージメント、収益化、維持率
ユーザー
ユーザー属性、テクノロジー
イベント
コンバージョン、イベント
探索
分析
ページごとの計測も「イベント」に含められます。その他、オーディエンスのセグメントを作成できる機能も追加され、使いごたえがあるツールになっています。
ユニバーサルアナリティクスでなれている方は、最初は戸惑うかもしれません。
3.レポートはカード形式で構成
レポートがシンプルになりました。ビジネスに関する一つのインサイトの大まかなスナップショットを概要カードで表現する様になりました。更に詳しく知りたい場合は、概要カード下部にあるリンクをクリックすれば、更に詳しいレポートを見ることができます。この機能により柔軟性が向上し、より詳細なインサイトを得ることが可能となりました。
4.検索欄からインタラクティブにレポートの確認が可能
例えば、検索欄に「最も使われているデバイスは何ですか」と入力すると次の画像のようにユーザーで上位のデバイスモデルをレコメンドしてくれます。
疑問に対してすぐに結果が表示される超便利機能です。おすすめです。
主な検索機能
インスタント検索で回答を得る
アナリティクス データに関して確認したい情報を、即座に入手することができます。検索を行う際は、指標、ディメンション、期間を具体的に指定すると、目的の回答が得られます。
たとえば、「米国での先週のコンバージョン数」を検索すると、検索パネルに結果が表示されます。検索結果を選択すると、詳細が表示されます。
レポート、管理ページ、インサイトを検索する
レポートの名前やレポートに関連するキーワードを入力します。内容を確認したいディメンションや指標を入力すると、そのディメンションや指標を含むレポートのリストが表示されます。たとえば、「コンバージョン」と入力し始めると、コンバージョンに関するレポートが表示されます。
「先週のモバイル ユーザー」のように、さらに詳しいデータを検索することもできます。
また、複数の期間で比較することも可能です。たとえば、「昨年と比較した前月の新規ユーザー」と検索すると、前月(9 月 1~30 日など)の「新規ユーザー」指標を前年同月と比較したレポートが表示されます。
アカウントまたはプロパティの設定を検索する
設定情報を検索するには、「アカウント ID」、「プロパティ ID」、「測定 ID」などの検索キーワードを入力します。
ヘルプコンテンツを検索する
アナリティクスのヘルプが必要な場合は、質問の内容(「ウェブ ストリームを追加」など)を入力します。
5.様々なコンバージョンをイベントに集約
GA4からはセッションベ中心の計測からイベントへ概念の変更が行われました。イベントに関する詳細は、以下のGoogle アナリティクス ヘルプが役立ちます。
6.ビジュアライズを利用し多目的な分析が可能
ディメンションの掛け合わせや様々なグラフを用いて高度な分析が可能になりました。
概要カードや詳細レポートで見つからないインサイトを探している場合は、分析機能を利用すればより詳細な分析が可能となります。使い方も簡単で、「ディメンション」と「指標」をドラッグ&ドロップするクロス集計が基本となります。
そして、インサイト導き出すために、データのフィルタリングやセグメント機能、並べ替えやリファクタリングを素早く簡単に利用でき、思考を止めることなくシームレスな分析が可能となりました。
くわえて、関心領域のデータセットが見つかれば、Googleアナリティクスのセグメントまたはオーディエンスとして、データセットをエクスポートできます。ダウンロードできるファイル形式を次に示しめします。エクスポートしたデータをTableauやPowerBIなどで使用することも可能です。
ダウンロードできるファイル形式
- Googleスプレッドシート
- TSV
- CSV
その他、共有機能も強化されており、組織内で分析結果を素早く共有することも可能です。
7.オーディエンスのセグメント作成が可能に
オーディエンスを使用すると、ビジネスの目的に合わせてユーザーをセグメント化できます。ディメンション、指標、イベントに基づいて、どのようなセグメントも自由に作成可能です。
8.Googleのサービス間の連携も可能
現在、リンク可能なサービスは次のようです。残念ながら、Adsenseへのリンクはまだ設定されていないようです。
9.従来どおりヘルプも準備されています。
進化したGA4プロパティは、従来のユニバーサルアナリティクスとの互換性はないため、データ蓄積の目的だけでも導入をおすすめします。